僕は基本的に一人旅をする時にはゲストハウスを利用している。リビングに行けば誰かと話が出来るし、キッチンのあるところなら現地の料理に飽きた時は自分で和食を作って食べられる。そしてなによりも安いからだ。
そして今回もいつものようにゲストハウスを利用した。コペンハーゲンの中心地から歩いて15分くらいのsleep in heaven という宿。観光地まで行くのに少し歩くが、清潔さや設備の充実さは文句なしだった。ここで僕は旅のスタートを切ることになる。
街をぶらぶらした後、夜ご飯にスーパーの惣菜コーナーで買ったしょうもないパスタを「これで1000円弱かよ、、、」と円安の不満を漏らしながら食べていた時のこと。1人の背の高くて鼻も高くて足がものすごく長い、いかにもヨーロッパ人の男性が「一緒にご飯食べてもいい?」と尋ねてきた。フランスから来た彼の名前はGhislainという。文字にしてもなんて読むかわからないし、何度か彼から名乗ってもらったが、フランス語特有のぶらぶら言葉でその時は分かってもすぐに忘れてしまった。なので、心の中では彼のことを僕の好きなフランス人自転車選手のバルデと呼んでいた。
そんなバルデとおしゃべりしながら食事をしていると、次はホルへというスペインから来た男の子が混ざってきた。21歳の彼はすごく笑顔が素敵で人柄の良さが滲み出ていたが、特筆すべきは彼の着ているTシャツにプリントされたトムとジェリーのイラストの上に「ありがとう」と書いてあることで、僕は一瞬で彼を信用出来た。トムとジェリーが笑顔で手を繋いで、その上に「ありがとう」って、そんな服を着ている人が悪い人な訳ないでしょ。
さらに、冴えない主人公の親友で先に童貞卒業されて激怒するような下ネタジョークばかり言う洋画にいがちなキャラクターのアルメニア人と、上半身がラガーマンのアメリカ人も加わり5人で一緒にディナーを楽しんだ。この頃にはもう僕の英語力ではどうにもならなくて、彼らが話す言葉を聞き、相槌やガヤをするので精一杯だった。話すタイミングは誰かに振られた時ぐらいで、その時ばかりはバラエティー番組のひな壇しかも後列すみっこの芸人ばりに気合を入れて話した。
その後、話の成り行きでみんなでバーに行くことになり、お酒をほとんどというか全く飲めない僕は一瞬躊躇したものの、これもいい経験になるだろうと思い、行くことにした。
バーに到着し、バーテンダーに飲み物を注文する我らコペンハーゲンアベンジャーズ。僕は恥を忍んでバーテンダーに、「俺お酒弱いからアルコール薄めにしてくれない?なんでもいいから」と頼んだ。肌の色が分からないくらい上半身タトゥーまみれのお姉さんは快く快諾してくれ、ピンク色のよく分からないカクテルを作ってくれた。これで1200円。ひょえ〜。
そしてみんなでそれぞれの国の「乾杯」を叫び、お酒を飲む、、、が、
めちゃくちゃお酒強かった。飲んだらうああ、、ってなるぐらいに。デンマークの弱いは日本の強いらしい。僕がこの旅でバーに行くのはこれが最初で最後だろう。もう飲むものか。
案の定しっかり酔っぱらい、ふらっふらで宿に向かう。もう僕自身がsleep in heaven。
着いたら安心してトイレで嘔吐し、ピンク色の吐瀉物を見て、高い授業料だったなあとうなだれるのであった。
◎今日覚えた英語: back and forward (酔っ払って千鳥足のような動きをすること)
★メモ:ケツの穴にブツをぶち込まれるのに500 万円は世界標準では安すぎるようだ。これも円安の影響か。
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