ベトナム生活6日目。そろそろ子どもの絵を集めに行かないとただローカルフードを堪能しただけでビザなしで滞在できる14日間を終えてしまいそうだったので、そろそろ動き出す。目指す先は面白い子どものいそうな田舎。宿泊していたカントーからゆらゆらバスを乗り継ぎ、google mapによると隣の都市ロンスエンとの間の地域が農村っぽかったのでそこに立ち寄ることにした。
綺麗でクッションの効いた座席の路面バスは本数が少ないのには問題があるものの、思っていたよりもずっと快適だった。街を抜け、窓から見える空が少しずつ広くなっていき、そこからさらに進んでいくと、あたり一面が鮮やかな緑色の畑だらけになったのでバスを降りてみることにした。
僕は都会で生まれ育ったので田舎の風景に少し憧れを抱いているのですが、こういう景色って何ていうんですかね。畑景色?田舎ビュー?それにうっとりしつつも、人がいそうな場所に向かって歩いてみるが、まあいない。舗装された道路は一本道で他に逸れる道はなく、星の数ほどの原付バイクが僕を追い越していく。たまに会う人はその道沿いに住んでいるのか、カフェとか食べ物を売っているのかよく分からない人たちだけ。10分ほど歩くと、大きな建物の立ち並ぶ地域にたどり着いた。しかし、そこは村のような生活感はなく、後で調べて分かったことだが、そこは裁判所や市役所だったようだ。ただ、そこで立派な公園を見つけたのでそこで出会った子どもに絵を描いてもらう事にした。しかし、子どもは全然来ない。来る気配もない。子どもどころか人すら通らない。途中スコールに遭い、同じ屋根で雨宿りしていたおばちゃん軍団にジェスチャーで”こっちは何もないよ”と伝えられ、”子どもは来る?”とジェスチャーで返したら1ミリも理解されず、互いにケラケラ笑い合うだけだった。
雨が止み、村どころか、子どもすらないかったのでこの場所を諦めて街へ向かうことにした。さっき降りた同じ行き先のバスがこの道を通るはずなので、来るのを待つ。するとバイクタクシーに声をかけられるので、僕は「バスがいいんだと」断る。このやりとりを10000回くらいやっていたら1時間くらい経過していた。
もう来る、もう来ると思って待っていたが、この日の僕は持っていない日だったので諦めてバイクタクシーを捕まえようとした時、バス停の向かいに住むおじいちゃんが僕にこう言う。
「◎●□☆!!!」
なるほど。分からない。
おじいさんが持っていたパンフレットを指差すと、そこに僕が読める訳のないベトナム語たちが行儀よく並んでいた。程なくしてバイクが僕らの前に止まると、おじいさんと運転手で何か話をつけていた。どうやら、おじいさんは来ないバスを待つ僕を心配してバイクタクシーを手配してくれたようだ。僕はめちゃくちゃお礼を言い、バイクで街まで連れてってもらった。そして街に到着してお金を払おうとしたら、なんとそのおじいさんが払ってくれていたとのこと。
自ら田舎に赴き、成果も得ず、苦労し、人に迷惑をかけただけの日でした。おじいさんに感謝の言葉を伝えるにはもう一回バイクタクシーに乗らなければならないので、この日自分が親切にされた分を他の人に返すことで還元できたらいいなと思います。とりあえずバスに乗れなくて困っているおじいさんをメインに。
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