ケニアにアメリカや中国の企業が参入し、ドローンによる配達システムを生み出そうとしていることやm-pesaなる支払いシステムの普及により物乞いは人に入金してもらうため自分のアカウントナンバーを見せているといったケニアのハイテク化情報をyoutubeで得ていたので、以前僕が訪れた7年前からどんな変化がこの国で見られるのか楽しみにしていた。首都ナイロビは大型ショッピングモールが増えて背の高いビルがあちこちに建てられており、僕はトルコのイスタンブール以来の大都市、長らくご無沙汰していたテクノロジーに感極まっていた。さらに至る所に日本食レストランがあり、ラーメンを食べた時にはその美味しさに思わず天を仰いだ。ドローンは見られなかったし道端に座っている物乞いがスマホなど持っているわけもなく小銭の入った紙コップにお金を入れてくれと頼むだけだったが、この国のキャッシュレス化の勢いは凄まじく現金で支払っているのは僕だけなのではと思う時があったくらいだ。目に見て分かる経済成長の具合に、大きくなった親戚の子どもの成長を喜ぶおじさんみたいな気分になっていた。
しかし、せっかく7年ぶりにこの国に来たのだから「そうだよね、これがケニアだよね」というものに再会したかった。ナイロビを離れ訪れたロイトキトクという田舎にある学校はいい意味で何も変わってなくて安心した。敷地に入るとすぐに大勢の子どもたちが僕の周りを囲んで一斉に声をかけるのでやんや言っているようにしか聞こえなかったがエネルギッシュで暖かい歓迎に感謝した。初日にもかかわらず幼稚園の先生は、お前はこの為に来たんだろ?と言わんばかりに僕に授業時間を与えてくれ、うたを教えたり一緒に遊んだりしてとにかく楽しんだ。泊まらせてもらっている家に帰って一息つくと、乾燥した気候のもとで土まみれになっていたからか鼻の中が信じられないくらい乾いていることに気が付いた。そのまま鼻くそをほじってみると真夏のアスファルトの上で干からびて千切れたミミズのような真っ黒でカラカラになった鼻くそが出てきた。珍しさから反射的に写真を撮ったが、写真を見ていると何処か既視感がるように感じ、過去のフォルダを漁ってみると7年前のケニアでとれた鼻くそがiphone4Gの画質で残されていた。そして、この時にようやく僕はケニアに再訪したことを感じたのであった。
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